日常生活自立支援事業(福祉サービス利用援助事業)とは

概要

成年後見制度と同じような支援制度として、「福祉サービス利用援助事業」(日常生活自立支援事業)があります。
これは、社会福祉協議会(社協)が実施しているもので、福祉サービスを利用するための支援や、日常的な金銭管理の支援を行います。

具体的には、
・福祉サービスの利用申込の代行、利用に関する相談
・公共料金や各種利用料などの支払手続
・行政手続の支援
・預金の出し入れ
・通帳や証書の保管
などを行います。

成年後見制度と重複する部分も多いといえますね。
ただし、あくまで日常生活のサポートが目的のため、不動産の売買など高額な財産の処分や、遺産分割などの法律行為を代わってすることはできません。

実施主体は都道府県・指定都市の社会福祉協議会ですが、支援の実務的な部分は各市町村の社協が担っています。

 

名称について

日常生活自立支援事業は、もとは地域福祉権利擁護事業という名称で行われており、厚生労働省の国庫補助事業としては平成19年度に事業名称が変更されました。ただし、京都府社協など一部の実施主体(社会福祉協議会)は、現在でもあえて地域福祉権利擁護事業の名称を使っています。
一方「福祉サービス利用援助事業」は、社会福祉法2条3項において社会福祉事業として定義されている名称です。
細かい定義の違いはあるのですが、実務上はあまり区別されていないこともあり、本稿ではこれら3つを便宜上同じものとして扱います。

 

利用のしかた、費用

この制度を利用するためには、社会福祉協議会と利用契約を結びます。

利用料は実施主体によって異なります。厚生労働省のウェブサイトによると、訪問1回あたりの利用料は平均1,200円とのことです。

京都府の場合、下記のとおりです。

相談や「支援計画」の作成までは無料。
「支援計画」に基づいて行うサービスは1時間1,000円
サービス提供に必要な移動費実費は別途負担。
ア.通帳・はんこ・公的書類の保管料は、お1人月額250円(年間3,000円)
イ.アに該当しない書類で、社会福祉協議会で必要と認めたものの保管料は月額250円(年間3,000円)

(京都府社会福祉協議会ウェブサイトより)

生活保護受給世帯は、利用料が無料になります。
また、実施主体によっては、利用料の減免を受けられることがあります。
(京都府社協の場合、住民税非課税世帯は利用料が無料です。)

 

利用の要件

利用対象者は、
(1) 判断能力が不十分であること
(2) 日常生活自立支援事業の利用契約の内容について、理解できること
の2つです。

(2)については、契約の内容を理解できないほど判断能力が落ちている場合であっても、成年後見人等が代理して契約を行うことが一応可能です。
ただし、成年後見制度と日常生活自立支援事業の両方を利用することが認められない場合もあります。

また、このサービスは基本的に在宅で生活される方向けのものです。
施設に入所されている方が利用できるかどうかは、事業主体によって異なるようです。

 

制度について詳しくお知りになりたい場合は、お近くの社会福祉協議会などにご相談いただくのが良いと思います。
全国社会福祉協議会や各都道府県の社会福祉協議会のウェブサイトでも、制度が紹介されています。