「成年後見関係事件の概況」に見る、3D円グラフの問題点
「3D円グラフ」というものがあります。
Excelなどで定番のグラフ形式で、通常の円グラフを立体的に表示するものです。
見栄えは良いのですが、グラフの下側にあるデータが実際より大きく見えてしまうといった欠点があります。
具体的に何が問題になるのか、実例をもとに見てみましょう。
最高裁判所が毎年発表する統計資料で「成年後見関係事件の概況」というものがあります。
これは、全国の家庭裁判所で取り扱っている成年後見関係事件について、申立件数や利用原因などの状況をとりまとめたものです。
この資料において3D円グラフが多用されているので、これを例にとって説明します。
上のグラフは、2018年の1年間に、親族以外で選任された成年後見人等の職業別内訳です。
この図を見ると、司法書士の割合がとても多いという印象を受けるのではないでしょうか?
確かにカテゴリー別では最も多いのですが、「下側のデータは大きく見える」という3D円グラフの特性によって、実際より大きく見えるのです。
上のグラフでは、左側は最高裁判所と同じ3D円グラフ、右側は傾きを入れない通常の円グラフです。
元となるデータの数値は左右で変わらないのですが、受ける印象は異なるのではないでしょうか。
弁護士と司法書士の部分を入れ替えてみると、より問題点ははっきりします。
青と赤の位置を入れ替えただけなのですが、青の面積が増えたように感じるのではないでしょうか。
このように、3D円グラフは、データの位置によって実際の割合より大きく見えてしまいます。
このため、説明資料などに用いるのは原則としておすすめできません。
(司法書士の宣伝にはよいかもしれませんが…)
最高裁家庭局におかれましても、使用を控えていただくことをご検討いただければと思います(^^)
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