金融機関への届出で成年被後見人の本人確認は不要-総務省あっせん

成年後見制度を利用される方(成年被後見人等)が預金口座をお持ちの場合、成年後見人は金融機関に対して届出(「後見の設定」といわれることがあります)を行います。
※この手続は既存の口座における届出であり、預金債権が成年後見人に移転するものではないため、犯収法の適用は受けません。

この際、金融機関に対して、後見の登記事項証明書を提出します。
登記事項証明書は成年後見人の権限を証明するためのもので、成年被後見人・成年後見人双方の住所氏名と権限内容が記されています。
このため、この登記事項証明書さえ提出すれば後見の届出を受け付ける金融機関が多いのですが、その他の書面提出を求める金融機関もあります。
中には、成年被後見人の本人確認書類を(口座開設時に一度提出しているにもかかわらず)改めて求める金融機関もあり、問題となっていました。

この点につき改善を求めるべく、このたび総務省行政評価局から金融庁へあっせんが行われました。

総務省行政評価局は、行政相談委員意見を基に、行政苦情救済推進会議の意見を踏まえ、 成年後見人が被後見人名義の既存口座に「後見の設定」を行う場合、改めて被後見人の本人確認は不要である 旨、必要な周知を図るよう、金融庁に対しあっせんしました。

金融庁は、必要な本人確認を行いつつ、成年後見人の負担軽減と金融機関の実務の円滑化を図るため、以下の措置を講ずる必要がある。

① 成年被後見人名義の既存口座に後見設定する際の本人確認については、多くの金融機関が「既存口座への後見設定時、成年被後見人の本人確認資料を登記事項証明書のみとする」という対応に肯定的であり、また、現にそうした取扱いをしていることから、このような実態を金融機関に周知すること。

② ①について警察庁に情報提供することにより、認識を共有すること。

今後、金融機関の取り扱いが改善されることを期待します。