認知症になったときに家族が出金できる信託商品
「認知症になると、預金口座が凍結されてしまう!」といった話が、ときどき聞かれます。
実際には、認知症になることによって完全に「凍結」されるわけではなく、また金融機関によっては代理人登録制度が用意されているところもあります。
ただ、原則として本人の意思が確認できなければ、預貯金の出金や解約を行うことは難しくなります。
こうした状況に対応する手段が成年後見制度なのですが、一方で、本人が認知症になった場合にあらかじめ登録した代理人が出金できるようにしたり、定期的な生活費の支払を受けられるようにする信託商品が、ここ最近相次いで登場しています。
そこで本記事では、最近取扱いが始まったものを中心に、主要4信託銀行の商品を取り上げたいと思います。
※
各銀行のウェブサイトやパンフレットの(執筆時の)記載内容をもとに執筆しています。
後見人がついた場合や、死亡した場合の処理など、ここに記載した以外の違いもあります。
詳しくは各リンク先をご覧いただくほか、各銀行にお問い合わせください。
目次
三菱UFJ信託銀行
代理出金機能付信託 つかえて安心
2019年3月より取扱いが開始された信託商品です。
スマートフォンのアプリを使って払出請求ができるところに大きな特徴があります。
また、「閲覧者」を設定することができます。代理人が払出しを請求した場合、閲覧者に通知が送られます。
信託金額は200万円以上です。
三井住友信託銀行
人生100年応援信託〈100年パスポート〉
2019年6月より取扱いが開始されています。
代理出金については、代理人に加えて、支払同意者を定めることができます。
優待価格などの特典など、多様なサービスが付随されています。
信託金額は1000万円以上です。
みずほ信託銀行
認知症サポート信託
2019年9月より取扱いが開始されました。
医療費や介護費について、必要額を出金するほか、信託財産から医療機関・介護施設等に直接支払ってもらうこともできます。
また、セーフティネットが用意されているところに大きな特徴があります。もし手続代理人・推定相続人が先に死亡するなどして関係者が不在となった場合、信託銀行は地域包括支援センターに契約内容を提供し、支援を依頼することになっています。
信託金額は500万円以上です。
りそな銀行
ハートトラスト 心の信託
マイトラスト 未来安心図
他の3行と比べると歴史は古く、「ハートトラスト」は2012年、「マイトラスト」は2013年より扱われている商品です。
「ハートトラスト」は信託金額が50~500万円と、低額であるところに特徴があります。
「マイトラスト」の信託金額は1000万円以上です。
ハートトラスト・マイトラスト共に、設定時に手数料がかかるほかは、月額の管理報酬がかかりません(運用報酬は別途発生)。
月額定額払いのサービスは、マイトラストにはありますが、ハートトラストにはありません。
管理信託報酬(手数料)の比較
※消費税抜の金額を記載しています。
※運用報酬は別途発生します。
※本稿執筆時における各社ウェブサイトの記載をもとに記載しています。
設定時手数料 | 管理手数料 | |
つかえて安心 (三菱UFJ) |
・5000万円以下の部分: 信託金額×1.5% ・5000万円超の部分: 信託金額×1% ※下限10万円、上限150万円 |
月額480円 |
100年パスポート (三井住友) |
信託金額×1% | 年額60,000円 (月額換算5,000円) |
認知症サポート信託 (みずほ) |
信託金額×1% ※上限220万円 |
月額3,000円 |
ハートトラスト (りそな) |
5万円 | なし |
マイトラスト (りそな) |
・2000万円以下の部分: 信託金額×3% ・2000万円超~5000万円: 信託金額×2% ・5000万円超の部分: 信託金額×1% |
なし |
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